全ての困った人と、
全ての困った人に困っている人に捧ぐ。




村を散策していると、
「こまったなぁ……」
と独り言を言っている人を見かけた。

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独り言で
「こまったなぁ……」
と困ったことを伝えるのは効果的ではない気がする。

この人には、まだ「こまったなぁ……」と言う余裕がある、
と思われてしまうからだ。

そこで一時間ほど待ってみることにした。








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未だに困っている。

これは本当に困っている可能性がある。

ただ、ここで声をかけるべきなのか躊躇してしまう。
こんなところで甘やかしていいのだろうか。



あなたの周りにも居るかもしれない困った人


この記事の編集を担当してくれているササキは実に困った人である。


カレーパン買ってこいよと言えば、
カレーとパンを買ってくるような男である。

あなたの身の回りにも、このような人間はいるのではないだろうか。


あくまで例え話だが、一時間の会議で、

「カレーパン買ってこいよ」
「この時間に唐揚げ棒は重たすぎる」
「忘れるならメモしろよ」


という話が出たとする。

で別日に何かミスが発生して問い詰めると、

「唐揚げ棒ってグラムだと軽いと思うんですけど」

と訳の分からないことを言いながら、
その両手にはカレーとパンを持ってたりする。

ちゃんとメモしろって言ったよな?
と聞くと

「メモするの忘れてました」

と言ってくるその両手には、
しっかりとカレーとパンが握られてたりする。




ササキは僕の部下ではない。
むしろ僕にライターの仕事をくれるありがたい存在だ。
とはいえ、いつまでもカレーとパンを握らせてる場合ではない。

何かを教えてあげたいが、僕は人に何か教えるのが苦手だ。
敏腕な上司ならどんな言葉をかけるんだろう。
気がつくと困っているのは僕なのである。

僕自身は割と下積みが長かったので、
困って悩む時間こそ成長の糧になるという、
たぶん古臭くて泥臭い考えを持っている。

一方、人を即戦力に育て上げる力を持ち合わせてはいない。

で、問題はそこだけではなく、
ササキ側にも理屈があってやってる行動だということだ。
ここまでは僕の主観で話を進めている訳で、 
ササキにはササキの主観があるのだ。

「カレーパン買ってこいよ」
「この時間に唐揚げ棒は重たすぎる」
「忘れるならメモしろよ」

と僕が話したと思っていても、
彼には、

「カレーとパンを買ってくる」
「どの時間に持っても唐揚げ棒は重たすぎなくなくなくない?」
「忘れそうならメモしろよを忘れそう」


みたいな話になっちゃってる可能性がある。


他人の主観は覗くことができない。
一体どんな見え方をしているのかなんて分からないのだ。



困った人に困っているはずの僕が、
むしろ困った人に思われている可能性も高い。

自主性を尊重したい。
何かを言ってあげられないか考える。

そもそも根本的に、他人は分かり合えるのだろうか。 



「こまったなぁ……」が本当に困っているのだとしたら
もしかしたらものすごいSOSかもしれない。
しかし、それを判断する方法がない。
僕が困った時は一体、何て言えばいいんだろう。

0817-1

そして彼は未だに困っている。

困った時に助けてもらう方法に答えが出ない。





ササキ 唐揚げより竜田揚げの方が軽いと思います

黒澤 こまったなぁ

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