ドラクエXIを発売日に届けてもらって、
僕はまだ冒険を始めれずにいた。

Y「ちょっと待ちなさいよ」

・・・その声は?


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担当から借りた3DSに挿しっぱなしのポケモンY!?


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ポケモンY「私ずっと待ってた」
僕「へ?」


Y「私ずっとここで待ってた、あなたが帰ってくるの」

僕「いやそれは僕じゃなくて担当が」

Y「忘れてた?」 
僕「忘れてたっていうか」

Y「忘れてたんでしょ?」
僕「いやそんなことないけど」

Y「ずーっと放っておくから、忘れられちゃったのかと思った」
僕「忘れるも何も挿さってるのも知らなかったから」 

Y「私のこと挿しといて、それはないんじゃない?」 
僕「いやその冒険に行こうと思ってて…」



Y「楽しかったよね、あの時は。毎日が冒険みたいで」
僕「ちょっと過去のことは分からないけど」

Y「あなたと一緒にたくさんレポート書いて、絶対忘れないぞって言ってくれたじゃない」

僕「大学時代の思い出かな」



Y「あなたは、あの頃から飽きっぽかったわね」
僕「どうしたの?」

Y「私のことアクセサリーだと思って」
僕「どういうこと」

Y「やれ赤がいいシルバーがいいって」
僕「ああ、色のことか」

Y「しまいにはルビー、サファイアとか言いだして、私はその度に装ってきた」
僕「本当の自分に蓋をしてたんだ」


彼女は涙目で僕に言う。


Y「でも気づいたの、私、Yだなって」


僕「よかった、気づけただけですごいよ」
Y「そんなことない」


彼女は涙を捨て去るように首を振った。

僕は下を向き、そのコンクリートに落ちた涙の跡を一つずつ数える。


僕「一人、二人、三人、四人、いや、みんな。自分のこと分からなくて困ってる人ばっかだよ」
Y「そうかな」

僕「うん。自分の色に悩んで、人の顔色、伺って生きてる」
Y「その方が生きやすいもんね」


僕は涙をこらえながら言う。


僕「そうじゃない」


Y「そうなの?」


──近くのバス停のラジオから涙そうそうが聞こえる。──


僕「自分の色を隠しているから、何が生きやすいのか、自分が何色なのかも分からなくなってくる」
Y「上書き上書きで自分を忘れてしまうんだね」
僕「セーブしてばかりで自分を見失ってる」


僕は僕にそう言い聞かせた。
だめだ泣いちゃいけない。彼女の前で弱い僕なんて見せられない。


Y「それは私だって」


彼女の言いかけた唇に指を置いた。
生温かさの残った唇がとても柔らかく僕の指を包む。
僕は目を真っ赤にしていて、とても恥ずかしかったけど君の目をはっきり見る。


僕「でも君はもう違う」
Y「そう・・・かな?」



僕「もしよかったらだけど、僕ともう一度、冒険始めてみない?」

Y「・・・私で、よかったら」



夏の日差しが僕を後押しして、海は何色にだってきらめいた。





黒澤「ポケモンYやっていい?」

ササキ「いい加減ドラクエやってください」

・その後のお話はこちら。
僕とYとXIの生きる道